用語辞典

ら・わ
一閑人 [いっかんじん]
皿・鉢・盃などの口造りの一端に人形がついている物。閑人(かんじん)が井戸を覗いているようなのでこの名がある。中国明時代(1368~1644年)の青磁や染付磁器によくみられる装飾で、両側に人形があるものは二閑人という。
糸切り [いときり]
回転する轆轤(ろくろ)から器物を切り離すとき、撚糸(ねんし)で引き切る事。またはそのようにして切り取った高台部の事。底部が糸の回転によって渦巻き文となる。
糸底 [いとぞこ]
轆轤(ろくろ)成形の際、糸で底を切り離した焼き物の底の事。本来は糸切りした底を指す名称だったが、糸切りの痕の見えないもの、さらに焼き物の底全てを指すようになった。糸尻ともいう。
伊羅保 [いらほ]
朝鮮半島で作られた高麗茶碗の一種。鉄分の小砂まじりの荒い土に薄い釉薬がかかり、肌が焦げてイライラ、イボイボした感じがするのでこの名が起こったといわれる。江戸時代(1603~1867年)初期に我が国の注文に応じて作られた所謂御本茶碗が多い。
御庭焼 [おにわやき]
江戸時代、諸藩主の中には、御用窯をつくって焼成させる例が多かったが、とくに城内や邸内に築用し、より好事的になったものを”御庭焼”と称する。有名なものに、紀州偕楽園焼、尾張御深井焼、水戸後楽園焼、備前後楽園焼などがある。
掛け分け [かけわけ]
2種類以上の色釉を分けて掛け流す施釉(せゆう)方法。
重ね焼 [かさねやき]
器物をいくつも重ねて焼成すること。その際、器物の溶着を防ぐために目砂や貝をはさむ。それが目跡となって器に残る。
片口 [かたくち]
台所用具の調理用具の一種で、鉢の一方に注ぎ口がついている物。油・酒・醤油などを口の小さな容器に移し替える時に用いられる。塗りものや焼き物で作られ、向付や鉢として使われることも多い。
兜鉢・甲鉢 [かぶとばち]
兜の鉢(頭を入れる部分)に似た形をした鉢。反りをもった大きな縁があり、伏せると兜の形に似ているのでこの名がある。
皮鯨 [かわくじら]
茶碗や皿の縁に鉄釉を掛けて焼くと、茶褐色に焼き上がる。その色が鯨の皮身に似ているところからつけられた名称。唐津にその遺品が多い。
貫入 [かんにゅう]
釉面にあらわれたヒビの事。素地(きじ)と釉薬の収縮率の違いから生じる。ヒビが大きいものを氷裂(ひょうれつ)文、細かいヒビがたくさん集まっているものを魚子(ぎょし)文という。貫入は欠点とされることもあるが、意図的に文様化したものもある。
砧青磁 [きぬたいせいじ]
我が国の茶人による中国青磁三分類の一つ。中国南宋時代(1127~1279年)に龍泉窯で焼かれた粉青色の青磁で、最も上手の美しい青磁として珍重された。
切高台 [きりこうだい]
高台の一部が1~数ヶ所切り込まれているものをいう。背の高い高台に見うけられ、江戸時代(1603~1867年)中期以降の萩茶碗や高麗茶碗などの一部にこの手法がある。
金彩 [きんさい]
金で上絵付けをした焼き物。金と他の合金を混ぜたもので彩画し、通常の上絵付けよりもさらに低い温度で焼き付ける。
錦彩 [きんさい]
赤・緑・紫・黄・藍などの色絵の上にさらに金彩を彩色したもの。
金つぎ [きんつぎ]
破損した陶磁器を漆を使ってつくろい、その表面を金で覆うこと。一見すると金でついだように見える。
釣(均)窯 [きんよう]
中国宋時代(960~1279年)の河南省の名窯の一つ。青磁釉が白濁した、ラベンダー彩が特徴。
沓型 [くつがた]
口縁部に不規則な狭まりがあるもの。茶碗や鉢によく見られ、口縁部の下に一段くびれがあるのが普通である。蹴鞠に用いられる沓に似ているところからつけられた名称。
くらわんか茶碗 [くわらんかぢゃわん]
江戸時代(1603~1867年)中期以降、淀川を往来する船客に酒食を売った「くらわんか船」の商人たちが用いた厚手の染付茶碗。ほとんどが末期伊万里染付の下手(げて)な作品だった。船の揺れで倒れないように高台が重い。
建水 [けんすい]
茶湯点前の時、茶碗をすすいだ湯や水を捨てる器のこと。水こぼしともいう。
香合 [こうごう]
香料を入れる蓋ときの器のこと。茶事では炉の炭手前に使用される。漆器、陶磁器など色々ある。珍味入れの容器などに転用されたりもする。
高台 [こうだい]
茶碗、鉢、椀などの足の部分にあたる基台のこと。輪高台、切高台など様々ある。糸底、糸尻ともいい、光台、香台とも書く。
高麗青磁 [こうらいせいじ]
朝鮮の高麗時代に焼かれ、高麗朝滅亡とともに衰退した優れて美しい青磁。中国の宋の政治の影響のもとに発展したが、朝鮮独特の味わいの深いものとなっている。青磁釉の下に白土や黒い土を象嵌して焼いた”象嵌青磁”、また、酸化銅を配し辰砂の紅を発色させたもの、釉下に鉄で絵を描いた”鉄絵青磁”などがある。
香炉 [こうろ]
中に灰を入れて香をたくのに用いる容器。中国、朝鮮、日本で多く作られ、陶製、銅製などの色々な形がある。元来は仏具だったが茶道や香道などで用いられる。
五彩 [ごさい]
中国明代(1368~1644年)に完成した上絵付けのこと。日本では赤絵または色絵という。
呉須 [ごす]
酸化コバルトを含んだ鉱物の名で、染付の顔料。中国では青花とか青華ともいう。呉州とも書き、広い意味で顔料や絵具全般を指すこともある。さらに呉須手とよばれる粗雑な染付磁器を指すこともある。
コバルト [こばると]
青めの着色剤として広く用いられる。染め付けなどに用いる呉須は、天然コバルトのことである。コバルトの八食の優劣により、作品の良し悪しが決まるので、様々にコバルトの種類を選び、混ぜものなどをして研究している。
御本手 [ごほんで]
桃山時代から江戸時代(1573~1867年)にかけて、我が国から朝鮮に御本手を示して釜山(ぷさん)あたりで作られた茶碗のこと。御本ともいう。これらの茶碗には、胎土の成分から淡い紅色の斑点があらわれることが多く、この斑点を御本と呼ぶこともある。
錆絵 [さびえ]
鉄絵のこと。京焼でいう。鉄釉で下絵付けしたもので、黒ないし褐色に発色する。
三彩 [さんさい]
素地(きじ)に直接、緑・茶・白・藍などの低火度釉をかけて焼いた軟陶。必ずしも3色とは限らず、2~4色のものが多い。中国では唐三彩、二本では奈良三彩が有名である。五彩と違い赤の絵具や青の下絵はない。
喰籠 [じきろう]
食物を盛って出す、大ぶりで平たい蓋つきの器物。円形や角形のものがあり、重層になっているものもある。売るしや竹製品にも見られるが伊万里焼など陶磁器にも多い。
しのぎ [しのぎ]
素地(きじ)の装飾技法の一つ。口作りから胴。腰にいたるまでを、ヘラで縦にえぐるように削ったもの。境目の稜線を際立たせ、これを文様とする。
青白磁 [せいはくじ]
白磁土の上に、青磁と同じように、少量の鉄分を含む灰釉を掛けて青く発色させたもの。白磁の一種。影青(いんちん)ともいう。
瀬戸黒 [せとぐろ]
瀬戸黒茶碗のこと。鉄釉を掛けた茶碗を焼成中の窯から引き出して、急冷させることによって黒色にすること。引出窯(ひきだしぐろ)ともいう。
濃み・ダミ [だみ]
染付彩色の技法の一つ。輪郭で線描きしたあと、太い筆でその内側に呉須をむらなく塗ること。
貼花 [ちょうか]
貼付文様のこと。胎土と同じ土で草花などの文様を作り、これを貼りつけてから釉を掛けて文様としたもの。「てんか」は慣用読み。
手鉢 [てばち]
丈夫に弧状の取手がついている鉢。焼き物などの料理を盛る他、菓子器として用いられる。万一の破損を考えての心がけとして、通常は手を持たないことになっている。
天龍寺青磁 [てんりゅじせいじ]
中国元時代(1271~1368年)から明時代(1368~1644年)初期にかけて龍泉窯で作られた青磁。濃い黄緑色で、大型の花瓶や皿が多い。
豆(闘)彩 [とうさい]
染付で骨描したあと、赤・緑・黄・紫などを彩色したもの。中国明成化時代(1465~87年)に創立され、清の雍正時代(1722~36年)に闘彩の名に相応しい色彩美を展開した。
飛青磁 [とびせいじ]
鉄釉による斑文がところどころにある青磁。中国の元~明時代(1171~1644年)にかけて龍泉窯で焼かれた。
銅鑼(羅)鉢・鉦鉢 [どらばち]
縁が切り立った平鉢で銅鑼のような形をしている。黄瀬戸の銅鑼鉢がよく知られている。
トルコ青 [とるこあお]
トルコ玉のような美しい青色を出す釉で、トルコ青釉、トルコ玉釉ともいう。エジプト、ペルシアの陶器に古くから盛んに盛いられた。
生掛け [なまがけ]
素焼きする前の素地(きじ)に釉薬を掛けて本焼きすること。通常は素焼き後に釉薬を掛ける。
濁し手 [にごしで]
柿右衛門の磁器に見られる米のとぎ汁のような乳白色の素地(きじ)のこと。普通の磁質には青みがある。
二重高台 [にじゅうこうだい]
高台の畳付の部分に一本の溝が彫ってあり、高台の内側にもう一つ高台があるかのように見えるもの。
灰被 [はいかつぎ・はいかむり]
窯変した天目茶碗の一種で、灰を被ったような鼠色に変色したもののこと。灰被天目ともいう。
馬上盃 [ばじょうはい]
脚部を手で握れるほどに高くした盃のことで、小向に使われることもある。馬上盞(さん)ともいう。この名の由来は、馬に乗ったまま酒を飲むのに適しているからとも、腰が高くて馬上にいるようだからともいわれる。
万暦赤絵 [ばんれきあかえ]
中国明(1368~1644年)末期の万暦窯で作られた華麗な五彩のこと。濃密な青花と五彩によってぎっしりと文様が描き込まれている。
緋(火)色 [ひいろ]
素地(きじ)中の鉄分が酸化して、ほの赤く発色してできた斑文。偶然にできるものと人工的につくられるものがある。
火(緋)襷 [ひだすき]
無釉の陶器の焼成中に、藁灰(わらばい)が掛かったところが赤褐色に窯変したもの。近年は藁を巻きつけるなどして、人工的に作られることも多く、備前焼によく見られる。
ピンホール [ぴんほーる]
釉の表面に小さな孔が針の先でつついたように出来たもの。釉中の成分が焼成中にガス化し、これが出た跡。また、器面に埃が付着したままの状態で施釉したときにも出る。このほか、色々な原因が考えられる。
袋物 [ふくろもの]
壷などの、袋状になって、内部に空間のある形をもった焼き物を指す。
フリット [ふりっと]
1200度以下の低温で焼くために、釉薬中に混入する釉材料。「白玉」ともいい、鉛白玉、無鉛白玉とがある。
伏せ焼き [ふせやき]
焼き物の口辺りを下にして焼くこと。器物の内面の汚れを防ぎ、歪みが少ない。
弁柄 [べんがら]
「紅柄(べにがら)」とも呼ぶ。酸化鉄の絵具。下絵付、上絵付に用いる。還元焼きで茶色から赤っぽい色に発色し、酸化焼成では黒くなる。インドのベンガルから転じた言葉。
窓絵 [まどえ]
焼き物の一部を釉で窓のように区切り、その中に山水、花鳥などの絵を描くこと。窓の形は丸、菱形、扇形などいろいろある。
見込み [みこみ]
茶碗や鉢の内側のこと。内側全体を指す場合と内側の正面または中央の底面を指す場合がある。見込みの作風は鑑賞の上で重要となる。
三島 [みしま]
象嵌(ぞうがん)の一種で、白釉で細かい文様がある焼き物。朝鮮李朝時代前期に焼成された。名称の由来は、静岡県三島神社から発行されていた暦の仮名文字に似ているところから付けられたとされているが、「三島」が朝鮮を指す言葉だという説もある。
水指 [みずさし]
茶具の一つで、席中に置き、窯に補給する水や茶碗をすすぐ水を入れておく容器。木製や金属製のものもあるが陶磁器が一般的である。同じ材料で作られた蓋(共蓋)がない場合は黒売るし塗りの蓋を使う。
麦藁手 [むぎわらで]
茶碗などの文様で、縦に細い線を何本も引いたもの。麦藁を連想させることからこの名がある。似たものに木賊(とくさ)文、千筋(せんすじ)がある。
虫食(喰)い [むしくい]
器の口辺部の釉薬が胎土に融着しないで、部分的に剥がれ落ちて素地(きじ)土が見えるもの。古染付などにみられる。
銘印 [めいいん]
器物につけられた作者または窯の印。印を押しつけるかわりに、ヘラなどで彫った銘や染付・色釉で書いた銘もある。
面取 [めんとり]
丸く成形した器の曲面をヘラなどで削り取り、多面体にすること。または直角の角を斜めに軽く削り取ること。
木瓜形 [もっこうがた]
器の形の一つ。紋所の木瓜のように楕円の四隅が内側に窪んでいる形。あこだ形、四方入隅(角)形ともいう。
焼締 [やきしめ]
信楽や備前など、釉薬を掛けずに、陶土をただ焼いただけのものをいう。高火度で長時間焼くため、土中の鉄分が赤く発色することが多い。
釉裏金彩 [ゆうりきんさい]
普通の金彩が釉の上に金を貼りつけるのに対して、金粉や金箔の上に透明な低火度釉を掛けて焼きつけたもの。絵の調子が柔らかく見え、また、金が剥がれにくい。
釉薬 [ゆうやく]
釉(うわぐすり)と同じ。
油滴天目 [ゆてきてんもく]
天目茶碗の一種。黒い釉面に金色や銀色の細かい斑点が出て、ちょうど水に浮く油滴のように見えるもの。
窯変 [ようへん]
窯の中で変化が起こり、形や色調に予期しない表情や色が出ること。技術・研究の進歩に伴い、現在では意識的に作れるようになった。
曜変天目 [ようへんてんもく]
天目茶碗の一種。黒釉の地に、銀白色で周囲に青みを含んで輝く丸い大小の斑点が、群をなして浮かび上がり、さらにその周辺に虹色の光彩が妖しく取り巻く。原因は不明で、世界中で日本に四点伝世するのみである。
四方 [よほう]
四角の器。
ラスター彩 [らすたーさい]
白地の上に、金・銀・銅を発色剤とする顔料で文様を描いたもの。光の具合によって黄金を含んだ虹色に輝く。イスラムの代表的な装飾技法。ラスターとはきらめきのこと。
輪花 [りんか]
皿や鉢などの縁に規則的な切り込みや凹凸があり、口造り全体が花形になっているもの。
瑠璃釉 [るりゆう]
酸化コバルトを着色剤とした青色の釉薬。器物全体に掛けた場合にこういう。主として磁器に用いられる。
蝋抜き [ろうぬき]
乾いた素地(きじ)に溶けた蝋で文様を描き、そのあと全面に釉を掛けたもの。蝋の部分だけ釉をはじいて抜文となる。
六古窯 [ろくこよう]
鎌倉時代以前より継続している古い窯を古窯の代表的なものとするが、その中でも後世大きな産地となった瀬戸・常滑・越後・丹波・備前・信楽の六つの窯を指す慣用語。
割山椒 [わりざんしょう]
山椒の実が熟して割れ開いたような小鉢のこと。独特の形状のおもしろさから秋の向付としてよく用いられ、三方の割れが深いものほど喜ばれる。