第5回 白を重ねる冬の装い

わかりやすく具体的な色、形、素材も悪くはないが、謎かけのような菓銘や抽象的な形、質感を組み合わせることで心の中に季節の風物がくっきりと焦点を結ぶ、洗練を極めた和菓子のあり方は、いっそスリリングなほど知的だ。とりわけ雪や氷 … 記事を読む

第4回 秋の風景を映して

 深まる秋を実感させてくれるのは、里山の風景に鮮やかな朱を灯す柿の実だ。正倉院文書にも登場する柿の、日本での栽培の歴史は古代まで遡る。実を生で食すばかりでなく、柿渋から防腐・防水剤を作り、落ちた実は発酵させて柿酢に、黒く … 記事を読む

第3回 岐阜に実る菓子と器

 炎暑の夏をなんとかくぐり抜けると、ご褒美のように秋がやってくる。少しずつ空が高くなり、大気は朝夕透き通るような涼気を湛え、野山に豊かな実りが結ばれる。この季節の先触れとして、9月に入るとまず登場するのが、岐阜県中津川特 … 記事を読む

第2回 月を映す鉢

 彼岸を過ぎ、風の中に少しずつ秋の気配が忍び寄ってくると、月を思い起こさせる器や菓子に手が伸びる。秋の3か月を孟・仲・季と分けた真中が陰暦8月、別名「仲秋」に当たり、さらにその月の満月、すなわち十五夜に出る月こそ名月、と … 記事を読む

第1回:涼を呼ぶ盛夏の白磁

 白磁は、陶磁器とつきあい始めるにはまずここから、という、食卓の器としてもっとも基本的な存在だ。基本だからといって、凡庸だったり退屈だったりするわけではない。使い手の想像力を最大限に引き出してくれる、まるで描かれる前のキ … 記事を読む